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子海石診療所からの帰り道


子海石診療所からの帰り道 ■ 子海石診療所
からの 帰り道
神奈川県 三浦市 南下浦町 金田
最寄 京急バス『役場下』
撮影 2007 / 03/14 他



第4話アルファさんは、
雷にうたれて大ケガをするという
大事件
に遭遇します。


このとき、
アルファさんの治療のために訪れたのが
子海石診療所(野比海岸ぞい)で、

完治して退院したアルファさん一行が
帰っていくシーンが、
第4話 最後の大ゴマ です。

子海石診療所からの帰り道



さて、あなたに質問です。

この大ゴマで描かれている場面は、
一体どこでしょう?




『えっ、当然 野比海岸でしょ??』
と 驚かれた方には、

ぜひ 以下を お読みいただき、
さらに驚いてほしいです(^^






僕が初めて 野比海岸 を訪れたのは、
2007年3月 でした。


『京急久里浜』 から
大きく時計回りに野比海岸に入り、
『YRP野比』 までの 計6キロ弱を歩いた
旅の 本目的は、

若かりし日の 子海石先生たちが、
かつての 渋滞道路 を見に出かける際に
待ち合わせした場所(ORANGE FOOT)を、
撮影してくることです。



そして、そのときの サブ目的が、
「1巻・100ページのコマ」の
舞台となった場所の風景も、
ついでに 写真に収めてくること
でした。

某サイトで、この付近の光景が
「診療所からの帰り道」として
紹介されていた
のを、
事前に見ていたためです。


紹介されていた場所 に 辿り着いた僕は、
そこからの景色を撮影し、
満足げに帰宅しました…


野比海岸





…ところが、

帰宅して「漫画内の風景」と、
「写真に撮ってきた 実際の風景」とを、
よくよく眺めなおしてみたところ、
ちょっと おかしな事
に 気づきました。

というより、
『根本的な 大矛盾』
気づいてしまったのです。



たしかに、この道路からの風景は、
「海沿いの、景色の良い直線道路」
という意味では、
漫画内の それと
とてもよく合致しています。



ところが、よくよく写真を見てみると、
彼方の「丘のような地形」が、
はるか左(南)のほうまで
広がり続いてしまっている
のです。


野比海岸




「ふきさんは 何の話をしてるんだ??」
と思われた方は、

もう一度 よーく
第4話の最後の大ゴマ
ご確認ください。


子海石診療所からの帰り道
(左端の電柱の、左側に ご注目を)



子海石診療所からの帰り道
(これは、左端の電柱あたりを拡大した画像です)



お気付きでしょうか?

そうなのです。

大ゴマの背景に描かれている「彼方の丘」は、
『左端の電柱の左あたりで、
終わってしまっている』
のです。



こうした風景は、

左(南)に どこまでも
「金田湾」にそった陸地が続いていくのが
見えるばかりの
「野比海岸の 国道134号線」
上からは

夕凪時代の「10メートル以上の海面上昇」
を考慮しても、
決して ありえません。



実は「第4話の最後の大ゴマ」の風景は、
『野比海岸』ではなかった のです!





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…と、大変な発見
一時は小躍りした僕でしたが…


それは つまり
『これまで「判明したもの」と
思われていた
ヨコハマ名所の1つが、
また所在不明になってしまった』

だけの話で、

ヨコハマファンにとっては
むしろ 状況は悪化 したと言えます。



漫画内の流れから考えても、
『野比海岸』以上に合致した場所など、
当時の僕には 思いつきもせず

正直 頭を抱えこみました…





ところが、

そんな モヤモヤした思い を抱えたまま、
半年以上が経過した 2007年11月に、
唐突に 転機 が 訪れます。


キッカケは、
逆転の発想でした。


先述の通り、
野比海岸近くの 国道134号線の向き
からして、

やはり どう考えても、
野比海岸 近辺に
「あの大ゴマと同一の光景を得られる場所」
が あるとは思えません




それなら逆に、

『野比海岸・国道134号線 という
「いかにも」な要素を あえて 無視 し、


「地形のみ」で見た場合に
あの大ゴマの風景に合致しそうな場所を、
探してみてはどうだろう…?』

と考えたのです。





これについて、
実は 地図を見ていて
1つだけ心当たり
がありました。

三浦海岸 の 南1.5キロ、
バス停でいうと『役場下』あたりから、
南の 雨崎方面を見ると、
この大ゴマのように見えそうな
気がする
のです。



「何とか 今すぐ確認したい…

でも、ヨコハマ名所から外れた
あの付近の写真なんて
持ってるわけないしなぁ…」

と、悶々としつつ

(2007年当時は、まだまだ「Googleストリートビュー」などで
手軽に現地の風景を確認することが出来なかった時代なのです)


ダメ元で デジカメ写真のフォルダを
あさってみたところ…



何の間違いか、
「役場下」のあたりの砂浜から
「雨崎」方面を撮った写真
があった

ので 仰天しました!




撮影日時を確認したところ、
先日の『変に青く波のない水面』
モデル地である谷を撮影後、

バス停『役場下』でバスを待っている時間が
手持ちぶさただったので、
本当に何気なく浜におりて撮影した
もののようです。

偉いぞ 自分! 男やわアンタ!



で、試しにチョチョイと
3枚の写真をつなげて
パノラマ風にしてみたところ…

おお! 何か、とても
それっぽく見えるではありませんか!






横に大きく広がる丘の形状もですが、

自分が気に入ったのは、
中央やや左から続く、
浜のカーブに沿うように
並んで出っぱる 短い丘たち



あの大ゴマの地形描写に、
とても似ている 気がするのです。





さあ、情報は そろいました。

あとはシッカリとした
資料写真を撮るのみ。



という事で、
まずは 2007年の 12月中旬
三浦海岸の 小さなホテルを予約して
挑みましたが…

見事に玉砕
撮影を断念して 帰ってきました(泣)



カメラに詳しい方なら ご存知でしょうが、
南向き海面近くの地形
撮影するのは、実に困難 なのです。

太陽の高度が低く、
水蒸気がジャマをするせいで、
モロに逆光になる上に
散光してしまうからです。


無理に撮影しても、
真っ黒な陸地になるか、
まばゆすぎる白い空が撮れるだけ


そんなの 悲しすぎるYO!

(下写真枚が、その日の朝のホテルのベランダからの風景です。
一見 よく晴れているようですが、地上付近の水蒸気が
けっこう濃い
のが お分かりになるでしょうか?

当時の僕には そうした知識が無かったので、
ぶっつけ本番で写真を撮りに行って、問題に気付いて 泣く泣く断念
という事が よくあったのです(苦笑))



  




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その後、

空気の透明度も含めて
条件の良さそうな日
を、
天気図を ジッ… と眺めつつ、
待つこと2ヶ月…


2月の ある寒い朝。

ついに ようやく、撮影に適した
(かつ 僕が仕事の休みの取れる)日が
関東に やって来てくれました!




というわけで、
撮ってまいりました、
遠景の 雨崎






ただ、こうして見ると、
空気の透明度が良かった ことが、
逆に 地形の凹凸をハッキリさせすぎてしまい、

漫画内のような優しげな雰囲気を
壊してしまっている
気がします。


むしろ さっきの、
そこそこの透明度の日に、
なにげなく撮った写真
のほうが、

霞みで ほどよく遠近感が出て、
それっぽく感じられ
ます…




うむー…
風景写真は、本当に難しいですね。



でも、この地面の起伏。

例の大ゴマと なかなかに
近似と思えますまいか?
(笑)





さて、「雨崎近辺の丘」の形状が
良い感じ
と分かったものの、

海面上昇が起こった夕凪時代には、
それらの丘を、
旧道より 5〜10メートルほど上のほうに
新設された道路
から 眺めています。



つまり、
本当に作中と同じような
アングルを得るには、

海に近い、ちょっとした高台に
のぼる必要がある
わけです。


子海石診療所からの帰り道



そして、バス停「役場下」の近くには、
おあつらえ向きに、
湾岸道路より さらに 10メートルほどの
高さをもった丘
があるのです。



「もう、漫画内のアングルは
獲得したも同然じゃんww」

意気揚々と登ってみたところ…



漫画の大ゴマに近いアングルを得るには、
他人さまの畑の奥深く(約100メートル)まで
入らなければならない
ことが
判明しました(泣)


私欲のために そこまでやっては、
ヨコハマファンである前に
社会人として失格

無念ですが、
やや 丘の内側にある農道 から
眺めるのが精一杯でした。


そうやって
かろうじて撮った今回の写真は、

やはり 丘の端(夕凪時代の湾岸道路)から
離れてしまっている分、
漫画内の風景と かなり角度が
異なっている
のが悔やまれます…


  





なお、この日は、

以前『変に青く波のない水面』
撮影で訪れた谷間の中にある、
小さな丘の上 からの撮影も行いました。

(実は ここも、後から考えると「他人さまの畑」らしいのですが、
トラクターが通れるぐらいの道が中央を走っており、
そこから撮影させていただきました)







丘の盛り上がり具合が
大ゴマのシーンと近い感じで
うれしい
ですが、

丘までの距離は さっきの場所より
さらに近くなっており、

さすがに これでは
「近すぎ」ますね(苦笑)




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こうして、
1年近く追いつづけた場所の現地が
判明 してくれたわけですが…

1つ、謎が残ります。



野比子海石診療所 から
帰ってきたアルファさんたちが、

どうして まっすぐ 西の岬 に向かわず、
国道134号を途中で左折して
こんな所を走っている
のでしょうか?



色々と考えたすえ、
思い当たりました。

アルファさんたちは
『南町』に 向かっている
のではないでしょうか?



入院の間の3日間、
買い控えていた 生活用品 や…

ささやかな 退院祝い
買い出しに出かけた、と考えれば、
ほんのり納得できる気がします。



「軽ーく祝いたいけっど、
退院したばっかのアルファさんに
コーヒー 淹れさせんのも悪ぃしな〜」

という感じで、

おじさん が 気を利かせた
という所でしょうか?(笑)





最後にアクセスです。


『三浦海岸』 から 30分に1本ペースで出ている、
『剱崎』(あるいは『三崎東岡』行きのバスに乗り、
バス停『役場下』で下車。


砂浜におりて 南を眺めると、
件の景色が楽しめます。




また、バス停から 100メートルほど北に戻る と、
丘の上へと登れる細道 もあります。





もちろん 先述のとおり、
「他人さまの畑があり 海側に近づけない」ため、
漫画内のようなアングルは
ちょっと期待できませんが…

「この丘が、夕凪時代には削られて
道路になるのだ…」
という
地元の方に対して失礼な妄想 を、

バレないように 思い描く ぐらいは、
許されるのではないでしょうか?(笑)




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