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夏島(Natsu I.)


夏島(Natsu I.) ■ 夏島
(Natsu I.)
神奈川県 横須賀市 夏島
最寄 京急バス『 日産研究所 』
撮影 2007 / 07/24
最終更新日 2025 / 05/18



今回は ナツ島 を ご紹介しましょう…

…と言っても、大半の方は「ナツ島 ??」
首を傾げられることと思います。


「ヨコハマ〜」書籍を
すみずみまで よーく目を通していて、

しかも ズバ抜けた記憶力の方だけが、
「もしや アレか…?」
気づかれたのではないでしょうか?



それでは、答えとまいりましょう。
ナツ島とは…

「ポストカード・ブック」
最初のページの、
夕凪時代の 三浦半島マップ
描かれている、
『Natsu I. (ナツ アイランド)
のことであります。


夏島(Natsu I.)



「このサイトの管理人も、
ヨコハマ名所のネタに困って
ついに こんな所にまで手を伸ばしやがった」

などと おっしゃりますな(笑)


この島、夕凪マップの中でも
ちょっと 異例 の 存在なのです。



「ポストカード・ブック」
お持ちの方は、
ぜひページを開いて、
いっしょに ご確認ください。

できれば、
我々の暮らす 21世紀初頭の地図
用意すると便利です。


…よろしいでしょうか?

では 始めましょう(^^





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『夕凪マップ』を ぐるり… と見回すと、
名前の分かっている「島」が、
計5つ 存在します。

西から 反時計回りに見ていくと…


【 Nagai I. 】(長井島)
21世紀の「長井」南西部の丘が残って
島になったものです。



【 Jo I. 】(城ヶ島)
21世紀にも存在している観光名所。
アルファさんたちが初日の出を見に行くのは、
この島の 東端の広場 です。



【 Kamoi I. 】(鴨居島)
21世紀の「浦賀」近辺の丘が残って島化したもの。
Kamoi は「観音崎灯台」などがあった
島南東部の かつての地名。



【 Saru I. 】(猿島)
21世紀にも存在する、かつての要塞島
海上ぞいに首都東京に侵入しようとする敵航空機の
迎撃を担った、首都防衛の要でした。





…と、ここまでは
以前から存在する土地だったり、
現在も 島であったりする
ので、
納得の行くものばかりです。


ところが「ナツ島」と呼ばれる島は、
東京湾内には 存在しません。



該当すると思しき場所を地図で調べても、
日産自動車住友重工工場 などが
ズラリと並んだ、

外周が直線で囲まれた
平らな埋立地 が 広がるばかり…


夏島近辺



どうしても見つからず、一時は
名前は全然 違うけど、
「八景島シーパラダイス」の事なのか ??

と 頭を抱えこんだりもしたのですが…



ようやく見つけました、
工場の敷地の ド真ん中に。

その名も 『夏島貝塚』


夏島貝塚



地図で見るかぎり、
周囲は平坦なのに、この近辺だけ
唐突に 40メートルほどの高さに
盛り上がっています。


ここが 夕凪時代まで残って島化したのが
「Natsu I.」なのでしょう。



それにしても
不思議な地形 です。

これは一度
見に行かねばなるまい。

島になる前の ナツ島 を…





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というわけで
現地の下調べを始めたのですが…
愕然 としました。

駅から現地まで 最低3キロあるのに、
直接「夏島」に行けるバスが、
午前9時から 午後2時後半まで、
1本も出ていない
のです。


同ルートを通る 別系統のバスですら、
1時間に1本 という閑散さ…



考えてみれば、無理もないことです。
なにしろ ここは 工場地帯

朝夕に工場に通勤する者以外、
そうそう人の行き来があるとは思えません。

という事は、
道中には コンビニやトイレも
期待できない
でしょう…


あれ? でも、
『夏島貝塚』を 見に行く人たち は、
どうしてるんだろう ??



等々、疑問や不安はあれど、
とにかく 出かけてみることにしました。

夏島 まで直接行くバスは少なくても、
途中の『追浜車庫前』までなら、
15分に1本 程度と、
それなりの本数が出ていたからです。






さて「夏島」を目指す 当日…

朝、梅雨の合間の上天気を見て
唐突に出発を決めたので、

最寄駅の 京急『追浜』に着いたのは
すでに 午前10時半
スケジュール押しまくり。


当然ながら
「夏島」まで行ける通勤時間帯のバス
終わってしまっていました
(泣)



追浜駅のバス停は 駅前ではなく、
大通りを東に渡って
50メートルほど行った所
にあるため、
最初は なかなか見つからず
すごくアセりました
(苦笑)


ようやくバス停に着いて時刻表を見ると、
次が来るまで 10分 ほどあります。


ここで、いつもの感覚で
「待つ時間が もったいないから、
徒歩で目的地に歩きはじめて、
バスに追いつかれたら 乗るか…」
と、

先のバス停に向かって
歩き出したのが 運の尽き


バス停の無い中間地点で
バスに追い抜かれ(泣)

気づけば駅から 1.7キロの
バス停『追浜車庫前』まで、
徒歩のみ で 到着してしまっていたのです。

夏の盛りなので、体力はできるだけ
温存したかったのに…


横須賀市 夏島




バス停「追浜車庫前」の 時刻表を見ると、
次の 夏島方面行き のバスは 40分後…

現地までは 1.5キロなので、
待っている間に歩いて到着できます。

というか、
バス停と 広いアスファルト道路しかない
こんな場所で、
夏の太陽を 40分も浴び続けたら、

ひからびて 死にます


やむなく、
さらに先へと 歩き出しました





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この付近は、工場メインという事もあって、
直線ばかりの光景 です。


横須賀市 夏島  横須賀市 夏島


まーーっすぐで広い
アスファルト道路の両端には、
高さ2メートルほどの灰色のコンクリ壁が
無機質に延々と続き、

その向こうに 銀色や白の巨大な建物が
無言で居座っています。


陽光を浴びて、デルタ型の銀の屋根が
ギラギラと輝きながら延々と続く様は、
巨大なノコギリを思わせます。


彼方に頭だけ見えている
太いエントツや巨大クレーンは、
距離のせいか、ほんのり水色に霞んで
空に なじんでいます。




普通に生活している分には
ほとんど見かけない
これらの光景を見ているうちに、

「だまし絵」を見るような
非現実感 が 湧いてきて、

うっすらと 不気味な心地に
なってきました…







それでも、
途中から『夏島 貝塚』らしき丘が、
工場の屋根の向こうに見えはじめた事もあり、

目的地が見えている安心感にも支えられた
1.5キロほどの徒歩は アッという間でした。


横須賀市 夏島  横須賀市 夏島



記念碑 のようなものが見えてきたので、
「これが 夏島貝塚か?」
近づいてみたところ…

貝塚ではなく
『明治憲法 起草記念碑』でした。

(ただ、すぐ近くに『夏島 貝塚』の説明板
置かれていましたが)



伊藤博文らが、大日本帝国憲法 の原案を、
ここ 夏島 で 秘密裏に準備したそうです。


横須賀市 夏島  横須賀市 夏島

横須賀市 夏島  横須賀市 夏島



それで分かったのですが、
この 夏島

元々は 陸から1キロほど離れた、
本当の だった
そうで、

付近を埋め立てて、
現在の姿になったらしいのです。



僕は当初、夏島 とは、
単に地名に「島」がついていただけの
海辺の丘
ぐらいに予想していたのですが…

実は、僕が今まで歩いてきた陸地こそが、
かつては 海 だったのです。


「島になる前のナツ島を 見に行こう!」
と 意気込んで始めた
今回の調査旅行でしたが、

何の事はない…


『夏島は元から「島」で、
埋め立てによって結果的に
「丘」のような地形になっていた』

だけだったのです。


無知な僕 を許してほしい、夏島よ…





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さて、『明治憲法 起草記念碑』から
さらに東に進み、

「夏島 貝塚」のある丘の周囲
時計回りに進んでみたのですが…


横須賀市 夏島



おかしいな…?

丘の麓はグルリと 金網 などで囲まれて、
一向に 入口 が見当たらないのです。



それどころか、丘の東側に回って
さらに(南に)進むにしたがって、
道路がジワジワと 丘から離れはじめた
ではありませんか!


え? 何?
「夏島貝塚」て 入れないの ??



どうも そうらしいのです。

きっと 公園などがあって、
近くから眺める程度のことはできる

踏んでいたのですが、

遺跡のある丘には
関係者以外 立入禁止 なのだとか…

ゲゲーーーッ!!



バスの本数が極端に少なかった理由 に、
深く納得いたしました…

「夏島 貝塚」は
観光地(?)ではなかった
のですね。


ここで一休みして、
帰路の英気を養おうと思ってたのに…



頭上からの夏の日差しが
急に ズシン…
強くなったように感じられ、
意識を失いそうになりました
(泣)






取りあえず、
夏島貝塚のある の写真
だけ撮ってきました。


夕凪時代には、この丘が
再び「島」なるのだと考えると、
趣きも違いますね コンチクショウ。

あぁ、登りたかったなぁ…


横須賀市 夏島

横須賀市 夏島

(上写真が から、下写真が 南東 から見た 丘の姿です。
下手な結合写真で 申し訳ない…)




それにしても、こうして眺めると
本当に「島らしい丘」ですね。

まあ 元々が島 なので、
夏島も そんなことで誉められても
不本意 でしょうが…(ごめんね)



この後、道路の終点まで行って、
(海洋科学技術センターの正門)
Uターンして、元来た道をテクテクテク…

あと 200メートルほどで
「追浜車庫前」という位置にある
バス停「物流センター」で、

丁度 後ろから追いついてきたバスに乗って
追浜駅 へと帰りました。






結局、全行程の半分以上、
5.5キロ を 徒歩でこなした形になります。

この日は、この後さらに、
三浦半島内の ヨコハマ名所 4〜5箇所を
周ったので、本当に本当に大変でした

夏の直射日光は、
徒歩の旅人にとって 殺人的 ですね…



なお 今回は あえて、
現地レポート というより
「僕の旅の思い出」を中心に語ってみました。

2回に1回は こんな風に、
そのときの気分で行き当たりばったりに行動して
大変な目 に 遭っています。


これもまた「旅の醍醐味」と言えば
そうなのですが、

さすがに もう少し思慮深く行動しないと、
旅先でバッタリ… で 済めばいいですが
場合によっては ポックリ…
という恐れもあるな… と、
思い知らされた一件でした(苦笑)





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それではアクセスです。


今回の僕と同様のルートの場合は、
京急『追浜』から、
『追浜車庫』方面行きのバス(複数ある)に乗って、
バス停『追浜車庫前』で 降りてください。


そこから、北へ1キロちょっと、
東へ 300メートル歩けば、
貝塚のある の 麓に到着します。

全体を見渡すのなら、
さらに 300メートル東に進んだ
『日産研究所』の 入口・駐車所付近が
良い感じです。




もし 運良く「住友行き」のバス
(1時間に1本)に 乗ることができたら、

前述の『日産研究所』のバス停まで
行くのがオススメです。


名前に騙されて、
1つ手前の バス停『夏島』で 降りてしまうと、
「日産研究所」まで 500メートル以上
余計に歩くハメになる
ので 注意です。



いずれにしろ、
追浜駅 構内にある バス案内
確認の上
で進んだほうが安全です。

バス停自体は、駅の東に
4ヶ所が離れて点在しています。






現地には 当然ながら、
トイレ・自販機の類は
一切ありません。


帰りのバスも、
『追浜車庫前』まで戻らないかぎり、
1時間に1本です。



夏島という 風情ある名前に だまされて、
陸の孤島で 焦熱地獄 に 遭う愚行
は、
僕を最後としたいので、

皆々さまに おかれましては、
ゆめゆめ 現地に足を運ぶことの
ありませんよう

(じゃあ 紹介すんなよ)



あと、後日 京急 の 資料を見ていて
気がついたのですが…

夏島周辺に向かうバス路線て、
「三浦半島 1DAYきっぷ」の
適応 範囲外
らしいです。


ぼ 僕、「1DAY切符」を見せるだけで
お金払わずに バス降りちゃった
んですけど…


あわわわわ、
ご ご ごめんなさい 京急さん!








●2025年 05月18日 追記


実に 18年 を経て、このページを
(スマホでも見やすいよう)書き直しました。



他のページより優先して
急遽 このページを書き直したキッカケは、

昨日、『日産自動車が、
夏島の「追浜工場」の閉鎖を
検討している』
とのニュースが
飛びこんできたからです。



これまで、工場があったからこそ
それなりに栄えていた(と 思われる)
追浜 の 地元の人々にとっては、
かなりの衝撃でしょうし、

そうなると、これまで以上に
徒歩主体で『夏島』を見に行くのが
難しくなる
のでは? と思えて、
(付近にトイレ・売店が無く、
バスなども 本数減・路線縮小 の可能性が高いので)


今のうちに「当時」の体験談を
整えてなおしておこう

考えたためでした。



この時の旅は、
自分の中でも屈指の
大変な思い をしたもので、

もう 18年も昔の話なのに、
文章を追うにしたがって
昨日のことのように
記憶が よみがえってくる

のには 驚きました(苦笑)



今後 追浜が どのように変わるのかは
1庶民の自分には分かりませんが、

自分のサイトで紹介されている
15年ほど前の三浦半島の姿が
次々と「失われた風景」に
なっていく
現実には、

なんともいえない感慨というか、
一抹の 寂しさ を おぼえずには
おれないのが 正直なところです…





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